1) 産業用ロボットの構成

産業用ロボットは、主に以下の4つの構成で成り立っています。

  1. 作業する腕に相当する「マニピュレータ」
  2. マニピュレータを制御する「ロボットコントローラ」
  3. 動作のモニタリングをする「プログラミングペンダント」
  4. マニピュレータとロボットコントローラを接続する「給電ケーブル」

実際の作業をするにあたっては、さらにマニピュレータに取り付けられるハンドや溶接トーチといったツール(エンドエフェクタ)やワークを固定するジグやワークを検出するセンサーなどが組み合わされます。

2-1)マニピュレータとは

マニピュレータは動いて作業する腕に相当するもので、産業用ロボットと聞いてまず想像するものがこれです。マニピュレータは一般的に4つから7つの可動部となる回転軸があり、それぞれサーボモータと減速機がつながれています。当社で一番生産数が多い6つの可動部がある(これを6自由度といいます)マニピュレータの場合は三次元空間上の位置(x,y,z)と姿勢(θx,θy,θz)を動作することができます。6自由度も必要がないパレタイジング用ロボットでは4軸、さらに自由度を必要とする場合は7軸のロボットもあります。

2-2)マニピュレータの種類

2-2-1) 垂直多関節型

6軸垂直多関節ロボット

現在産業用ロボットの主流はこの6軸垂直多関節型です。みなさんがロボットと聞いてまずイメージする形かと思います。汎用性が高く、自動化を検討するときに様々な用途で使えるロボットです。同じ6軸構造でも対象物を持ち上げられる最大の重さ(可搬質量)が500グラムから900キログラムの多彩な種類があります。500グラムの可搬質量のモデルは本体質量が7キログラムと片手でも運べる大きさで、数台組み合わせるとそれぞれが連携して細かい作業を精密に行ってくれます。産業用ロボットは手首から先のツールによって様々な作業をすることができます。

6軸垂直多関節ロボット MH900_lifting

7軸垂直多関節型ロボット

軸数が7軸あると人間の腕に一番近く動けるといわれています。6軸だとマニピュレータが届かないような入り込んだ場所にアプローチする場合でも、もう一軸あるとアームが回り込んで接近することができるので、設備をより小さく高密度で配置ができ、工場のラインレイアウト自由度が高まります。2008年には7軸のアーク溶接ロボットを世界初で製品化しています。

7軸垂直多関節型ロボット

双腕型ロボット

双腕型ロボットの形は人間の上半身のようにも見えますが、実際の人間の腕の動きに近い7軸の両腕に加えて腰の動きの一軸での軸数は15軸あり、ほぼ人間に近い動きをすることができます。つまり工場でいままで人間が行っていた作業を産業用ロボットに覚えさせて代替することができるのです。段ボールへの梱包であれば一方のアームでワークを抑え、もう一方のアームで梱包させるなど、人間の動きに近いことができます。

双腕型ロボット

2-2-2) 水平多関節型(スカラロボット)

スカラはSelective Compliance Assembly Robot Armの頭文字をとって「SCARA」と呼ばれています。軸数は4軸が一般的で、アームが水平方向に旋回する動作と、先端部分が垂直方向に上下する動作を組み合わせた動きをします。構造がシンプルなため高速動作が可能で、先端部分が上下に動作する特長を生かして、プリント基板への電子部品の実装などが得意です。

水平多関節型(スカラロボット)

2-2-3) パラレルリンク

本体から伸びた3本のアームが先端で一体になった構造をしています。ツールはその一体になった部分に取り付けられます。アームそのものを非常に軽量に作ることができるので、高速に動かすことができます。可動領域は狭いですが、各モータが同期して先端を動作させるため、可搬質量に対して、非常に速い「スピード」が得られます。食品工場や中食工場などで多く使用されており、生産ラインで流れてくる製品の整列、充填、締め、包装、箱詰めなどを行っています。

パラレルリンク

2-3)マニピュレータの構成部品

サーボモータ

ロボットコントローラからの指令によりマニピュレータを動作させます。サーボモータには速度と回転位置を検出するエンコーダが取り付けられており、ロボットコントローラにフィードバックすることで精度の高い動作を実現します。マニピュレータが6軸や7軸といったときは、サーボモータの組み込まれた数と同数ということになります。

サーボモータへ

減速機

サーボモータの回転速度を減速するとともにトルクをあげてマニピュレータへ伝達します。減速機を経由して出力されるトルクは減速比に比例します。産業用ロボットで使用される減速機は一般的にサーボモータからの入力軸と減速後の出力軸は同一直線状になる構造をしています。減速機の精度はマニピュレータの動作精度も左右する重要な構成部品です。

減速機

3)ロボットコントローラ

産業用ロボットを動作させたいプログラムを記録し、具体的に動作させるための指令値を計算するためのCPUや入出力信号を制御するI/O基板、マニピュレータを動作させ電力を供給するサーボドライバが組み込まれた機器はロボットコントローラと呼ばれ“頭脳”といえる部分になります。最近は現場に設置する省スペース化のために、小型化の要望が多く、当社も世界最小クラスとなるYRCシリーズを展開しています。

ロボットコントローラ

4)プログラミングペンダント

マニピュレータに作業するための動作を教えたり、プログラムや条件の設定や動作状況の確認をしたりするマン・マシンインターフェースがプログラミングペンダントです。プログラミングペンダントにはデッドマンスイッチと呼ばれるものが装備されており、オペレーターがプログラミングペンダントを正しく握っていないと、産業用ロボットに電源が供給されない仕様になっています。

また、何らかの危険な状態で、オペレーターがプログラミングペンダントを強く握りしめた場合にも産業用ロボットへの電源が遮断される安全に考慮した設計になっています。

プログラミングペンダント

5)ツール(エンドエフェクタ)

産業用ロボットの手首に取り付けられるハンドや溶接トーチ、スポットガンなどを総称してツール(エンドエフェクタ)と呼びます。ツール(エンドエフェクタ)は周辺機器メーカーによってあらかじめ準備されているものもありますが、お客さまの作業に合わせて専用に設計・製作されることもあります。

グリッパー