製品の品質と安全性について、安川グループ企業行動規準において以下の通り定め、お客さま本位の立場から安全と品質管理を徹底するとともに、お客さまの声に適時・適切に対応し、お客さまの信頼をさらに高めるよう継続的改善に努めています。
お客様に安心して当社製品をご使用いただくためには、源流での製品の安全性確保が最重要と考えています。そのため製品開発段階において、リスクアセスメントにより製品の安全性を十分作りこむことと、各種国際規格への適合や検証、安全性審査会などを行っています。
さらに、社内教育、PL(製造物責任)対応への啓発活動を実施し、「PLの芽」活動*1として社内・社外での安全性に関わる情報への問題意識を持ち、常により高い目標を目指した継続的な活動を展開しています。
*1 「PLの芽」活動とは、ヒヤリハット(事故には至らなかったもののヒヤリとした、ハッとした事例)や他社製品による事故情報などから、当社製品に内在している “PL問題の芽” を摘み取り、製造物責任を果たすための文化醸成、製品安全文化を育てる運動および、製品の安全性向上活動の総称です。
安川グループは、お客様に最適なサービスを提供するため、各事業部に品質保証部を配置すると共に、品質情報を現地法人と共有しながらグローバルな品質保証体制を構築しています。
また、本社の品質経営推進部は、各事業部の品質保証部と連携し、安川グループ全体の品質保証活動最適化に向けて企画・推進を行うと共に、顧客価値最大化を目指したTQM活動を展開しています。
当社は製品の企画段階から、開発・量産・市場にいたる製品ライフサイクル全般で品質保証活動を展開しています。これらはISO規格をベースとした全社QMS体系でカバーしており、全社レベルから各事業部の製品やサービスの提供をおこなう実活動レベルまで展開しています。
製品実現段階においては過去に発生した開発・生産・市場問題の再発防止、FMEA・リスクアセスメント・各種安全規格対応による未然防止とそれらの徹底した検証の実行、生産段階では漏れのない試験と工程毎の品質状況監視で品質を確保しています。市場対応では、お客さまからのご指摘や不具合情報の一元化により早期発見・早期解決に努めています。
これらの中でも、製品安全やコンプライアンスに関する事項は、危機発生を防止するために特に重要度を上げて取り組んでいます。こうした未然防止活動とともに万が一の危機発生時には、全社一丸となった対応を可能にするため、製品安全(PL)委員会、コンプライアンス委員会を全社組織として設置し、品質保証部門と協業して活動をおこないます。また、これらの品質活動状況及び監視指標については定期的に経営会議で報告を行い、全社的に共有し取り組みの加速・改善につなげています。
製品の市場故障の要因は設計起因と部品起因の2つに大別され、要因全体の60%から80%を占めると言われています。開発の源流における品質・信頼性の作り込みのため、製品企画段階での市場や用途を想定した耐環境性のレベル設定、シミュレーション・品質工学・HALTなどのツールや手法を駆使した設計・評価、さらに採用する部品や素形材の適正品質の追求などに取り組んでいます。
採用部品などの適正品質を追求する活動
お客様からの不具合情報は「全社フィールド品質情報システム」により、オンラインで収集・分析し、品質改善活動に反映しています。特に、再発防止からの水平展開、新製品開発での未然防止活動につなげています。
社会全体に広く使われているさまざまな電気・電子機器は、その機器が電磁(ノイズ)現象によって周辺の機器やシステム、ひいては社会環境全般に影響を及ぼさないEMC*2への対応がグローバルで求められています。2017年度に本社にEMC試験施設を新設し、テュフ ラインランドからの任命ラボ認定によって、試験から認証取得までを一貫して行うことが可能となりました。これにより製品の開発期間の短縮だけでなく、さらに安全・安心なメカトロニクス製品をお客さまにスピーディーに供給することができるようになります。
*2:EMCとは、Electromagnetic Compatibilityの略。日本語では電磁両立性、電磁環境両立性とも呼ばれます。自身の電気・電子機器が動作することで発する電磁妨害波が、他の機器の動作、システムに対しても悪影響を与えず、また他の機器、システムからの電磁妨害を受けても自身が影響なく正常動作の継続を確保することです。
EMC試験施設の内観
製品の性能を最大限に引き出し、安全にご使用いただくためには、何よりも確かな基礎知識が不可欠です。そこで、お客さまにインバータ、サーボ(汎用)製品についてモーションコントロールスクールを開催しています。講習には、インストラクターが直接説明にあたる学校形式の「トレーニング」とインターネットを使って受講できる「eラーニング」の2つの形態があります。詳細は、e-メカサイト(http://www.e-mechatronics.com/school/motion/index.html)でご案内しています。
また、ロボット製品については、モートマンエンジニアリング株式会社がロボットスクールを開催し、操作教育と保守教育を行っています。
当社製品と機械との適合性確認および、機械・設備の能力引き上げのため、当社技術者による調整や試運転業務を提供しています。また、予防保全の支援、不具合発生時の調査・修復などアフターサービスについては、当社グループ全体でグローバルに対応しています。
生産中止製品の補修用部品の一般販売は原則として行っていませんが、当社グループ・関連サービス会社との連携で、生産中止後もお客様設備の長期保守対応として“ライフタイムサービス”を実現しています。