安川テクノロジーセンタ

イノベーションを興す技術開発拠点「安川テクノロジーセンタ」

新設の背景

技術立社

安川電機は「技術立社」をうたい世界初・世界一の製品開発にこだわってモータを100年間回してきました。この精神は時代が変わっても私たちに脈々と受け継がれています。私たちが提唱するソリューションコンセプトi3-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス)integrated(統合的)、intelligent(知能的)、innovative(革新的)の3つの順番で進めることでイノベーションを興していくことを提案しており、生産、販売、技術のいわゆる「生販技」においても同じ順番で行うことを大切にしています。これまでは2018年に営業体制を一本化した営業本部の設置、2019年には生産体制を統合するコンセプト「Y’s Production25」を掲げて推進してきました。ファクトリーオートメーション(FA)分野においては、製品単体での競争力というだけではなく、そのアプリケーションを含めたトータルソリューションでの提案が重要になっており、技術の統合も必要となっていました。これに応えるためロボット村に技術開発拠点を新設して最後のとりでとなる技術分野における統合を図ったのが安川テクノロジーセンタ(YTC)です。

安川テクノロジーセンタのコンセプト

文化を変え開発の仕方を変える

安川テクノロジーセンタのコンセプト

YTCは、技術開発の機能を一か所に結集させ、技術革新(イノベーション)を興してお客さまが勝てる製品の開発をタイムリーに行う場所です。これまで基盤技術の一つである要素技術開発は開発研究所が行い、製品開発は事業部が行うという分業型であった開発体制を見直し、開発プロセスを統合(integrated)することで”開発の仕方”を変え、総合力を発揮していきます。

また産学官やベンチャーといった社外との協業によるオープンイノベーションを通じた新たな技術革新も加速させていきます。当社の技術領域を拡大し、技術力を上げるため、例えば産業用ロボットの新たな利活用、より小型かつ大きなトルクをもつモータを実現するための素材開発やモータを活用した新しい市場に挑戦をしている様々な機関・団体と連携します。相乗効果の高い先端技術との融合に加えイノベーション創出の仕組みの活用を行っていきます。
このようにYTCにオール安川の技術を集約し、基礎技術と先端技術それぞれの開発を推進することで競争力を高めていきます。

安川グループの技術集約によるイノベーション

これまでは主力製品の産業用ロボット、サーボモータ、インバータ用のモータなど製品ごとにそれぞれの事業部で開発を行っていました。ただそうした開発体制だと、例えば重複するモータ技術を別々に開発していることになるなど非効率な側面もありました。
また生産技術というのは、例えば1,000種類にのぼるサーボ製品をどうやって効率的に作り分けていくか、どうやって完成品の品質を安定させるか、中国含めグローバルに構える工場での生産設備の共通化をどうするかなどをとりまとめる技術ですが、こういった技術もこのYTCで様々な部門と連携しながら開発を行っていきます。評価においては特に高い性能が求められるファクトリーオートメーション(FA)業界での信頼性を確保するため、ロボットの環境実験、薬品処理、物性・構造分析、音響実験などを施設内で完結できるような設備を整えています。
YTCでは、こういった技術情報の共有化を図り、各事業で持っているお客さまのニーズなども含めた知見を共有することで徹底した合理化を図っていきます。開発における基礎技術開発、生産技術開発、製品開発、製品・設備設計、品質管理から量産試作までを含めた上流から下流までの全プロセスを集約することで、一貫した仕組み(ルール)のなかで開発を進めることができるようになります。これを全社で進めているYDX(安川版DX)のなかで考えていくと例えばお客さまのニーズの設計への取込みや違う製品での部品の共通化ということにもつながっていきます。

産学官・ベンチャー企業などとの協業によるイノベーション
産学官・ベンチャー企業などとの協業によるイノベーション
産学官・ベンチャー企業などとの協業によるイノベーション

安川電機のコア技術は「モーション制御」、「ロボット技術」、「パワー変換」の3つです。この強みを更に強化するために産学官やベンチャー企業との協業を図っていきます。例えば学術界とは大学の研究室などとのロボット制御技術の開発や農業分野での最先端技術の研究、それぞれの技術を生かした新しい市場への取組み、産業界とはそれぞれの強みがレバレッジするような例えばモータ技術を補完するセンサー・ネットワーク通信・制御・クラウドといった周辺分野の技術開発、官とは次世代のエンジニア人材創出や中小企業支援など産業創出の支援など、ベンチャー企業とは新たなマーケット情報の探求に加えてユニークでとがった技術の開発など、当社を取り巻く様々な「技術」をレベルアップさせるべくそれぞれの組織と最大限の効果を発揮できる連携を行っていきます。こういった取組みを通じて一社だけではできない新たな技術革新(イノベーション)を呼び興します。

安川テクノロジーセンタの空間としての魅力

イノベーションを興す環境

生産自動化にデジタルデータマネジメントを加えたソリューションコンセプト「アイキューブ メカトロニクス」をより進化させるためにも、仕事のやり方を変えて従業員が同じ考え方のもと開発に取り組むことが必要となります。それゆえワークスペースは100mの吹き抜けで壁がない空間になっており、そこに事業の垣根を越えたエンジニアが集まっています。
YTC内にはすぐにコミュニケーションがとれるオープンな会議テーブル、アイデアをすぐに形にできる試作用装置群や同フロアにワークスペースと実験スペースを設置するなど、常時エンジニア同士が活発なコミュニケーションを図ることで、スピーディーな開発を行います。
また、ワークスペースのほか、産学官やベンチャー企業と協業ができるように協業開発室や150名収容のイノベーションホールなどを設置しています。

最先端のネットワーク環境

ローカル5G環境

九州エリアで初めてローカル5G無線局免許を取得し、高速通信でサーボモータや産業用ロボットを制御するといった実証実験も行える通信環境を整えました。これにより例えば自律搬送ロボット(AGV)の上に載せた産業用ロボットがワイヤレスかつ大容量でのデータ通信を行いながらより高い精度で制御するといった技術を開発するといったことも可能になります。また、他の地域にいるエンジニアとも常に連絡がとれるように、常時接続を行うことで相互の意思疎通を図り、円滑なコミュニケーションが弾む環境を整えています。

環境に配慮したサスティナブルな建屋

安川テクノロジーセンタはCO₂排出量がゼロの電力で運営されています。これは事業所全体の使用電力を全て太陽光など再生可能エネルギー由来とすることで電力使用によるCO₂排出量を100%ゼロにするClean Power 100活動の一環で、YTCの屋上にはその一部の電力を賄えるように太陽光発電設備を設置しています。またその発電量はリアルタイムで確認することができます。
これに加えて主に九州地区内で発生した廃棄物を利用したエコロジーな内装材を、通路やカフェスペースなどの壁面に使用するなどエコ素材の採用をしています。建物全体を、バリアフリー対応とするなど障がい者にも配慮したつくりとなっています。

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