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流入量予測システムを適用したポンプ運転支援システムを開発
- 雨天時のポンプ場の運転支援 -

新製品2004年7月21日

 株式株式会社安川電機(取締役社長 利島 康司)は、雨天時のポンプ場の運転をサポートするため、ポンプ場へ流入する雨水量の予測を行うシステムを適用したポンプ運転支援システムを開発しました。開発したシステムは、流入量の予測精度が高いので、ポンプの運転を的確にサポートすることができます。

 本システムは、機能開発が終了し実プラントでフィールドテストを行っています。フィールドテストを経て、今後、製品化・販売開始に向けた取り組みを行っていきます。

  • https://www.yaskawa.co.jp/wp-content/uploads/2004/07/06.gif

1.開発のねらい

 下水道は、汚水の排除、汚水の処理、雨天時の浸水防除を行う役割があります。その役割のため、ポンプ場は、汚水を下水処理場へ送水し、雨天時には雨水を河海へ排除します。しかし、近年、都市化の進展に伴い、山地開発、道路整備が行われ、舗装エリアが増加しています。それにより、雨水の浸透域(田園、山間部)が減少し、短時間に大量の雨水がポンプ場へ流入することが多くなってきています。このような状況において、雨天時のポンプ運転は、下水道の方式(分流式、合流式)によって課題が異なります。

 分流式は、汚水と雨水の下水管が分離しています。汚水は中継ポンプ場*1を通じて下水処理場へ送水され、雨水は、排水ポンプ場*2にて河海へ排除することで都市の浸水を防いでいます。
 合流式は、汚水と雨水が混合し下水処理場に流入します。下水処理場で処理する容量を越えた場合、排水ポンプ場から河海へ放流されることがあります。このような下水は、公共用水域の水質悪化を引き起こす原因となります。そこで、施設内に貯留するなど、河海へ放流する下水(汚水+雨水)を減少させるため、各自治体において種々の対策がとられています。

 当社では、このような浸水対策、公共水域の悪化を解決する1つの手段としてポンプ場への流入量を予測し、ポンプの運転を的確に行うシステムを提案します。このように予測を適用したポンプの運転では、浸水対策、施設の貯留能力を最大限に活用したシステムを構築することが可能となります。

2.特長

 (1) 土地の状況把握に対応
 従来は、雨水がポンプ場へ流入する状況を把握するため、ポンプ場への流入時間、速度を調査する必要がありました。本システムは、モデルが計測器で収集したデータ(雨量、流入量など)を利用して、上流からポンプ場への流入時間、流入速度を学習します。その結果、土地の利用形態を表現したモデルを自動的に作成します。
 (2) 継続的な土地調査は不要
 従来は、雨水がポンプ場へ流入する状況の経年変化を把握するため、土地形態を定期的に調査する必要がありました。本手法は、計測器で収集したデータを利用して、数日間隔で自動的にモデルを更新するので、定期的に土地やデータなどの調査、操作は不要です。
 (3) システム稼動後、数回の降雨量計測で、予測可能
 直近の実績データ(流入量、雨量など)によってモデルを作成するので、長期間のデータ収集は必要ありません。システム稼働後、数回の雨量計測で流入量予測が可能です。
 (4) 予測精度向上のため、データ処理手法の確立
 モデル作成時に使用するデータは、安川独自のデータ加工技術を適用しています。よって、雨量と流入量の関係を的確に表現することが可能になり、予測精度が向上します。

3.主な用途

 (1) 浸水防除を目的とした雨水排水ポンプの運転支援
 (2) 雨水を貯留施設に貯留することで、水質悪化防止を行うポンプの運転支援

4.今後の計画

 (1) 販売開始 2005年度より販売を予定
 (2) 販売目標 10セット/年を予定(システム組込み含む)
 なお、来る7月27日(火)〜30(金)に横浜市のパシフィコ横浜で開催される「下水道展 ’04横浜」において、「流入量予測によるポンプ運転支援システム」を展示します。

【文中語句説明】
*1 中継ポンプ場
  自然流下で長距離移送する管路において、下水を中継し、次のポンプ場または処理場へ送水するためのポンプ場
*2 排水ポンプ場
  下水管を流下してきた排水区域内の雨水を、河海などの公共用水域に放流するためのポンプ場

 

[お問い合わせ先]
株式会社 安川電機
システム工場 技術部 新規事業担当
課長代理 佐藤 明雄
Tel.(0930)25-2108
Fax.(0930)23-3402

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