AIロボットとは?
これまでロボットには難しすぎると思われていた作業も、AIの力を組み合わせることで自動化できる時代になりました。
食品・製造・医療など、さまざまな現場におけるMOTOMAN NEXTの活用事例をご紹介します。
一粒ごとの品質を判断し、
傷つきやすいいちごの選別からパック詰めまでを自動化
いちごの調製・出荷工程では、収穫後の果実を選果し、規格に応じてパックへ詰める作業が行われています。しかし、いちごは大きさや形状、色づきが一粒ごとに異なり、柔らかく傷つきやすいため、品質を維持しながら丁寧に扱う必要があります。また、重量規格や見栄えを考慮したパック詰めも求められることから、自動化が難しい作業でした。MOTOMAN NEXTは、AIでいちごの位置や姿勢、品質を認識し、最適な把持位置を判断してピッキングを行います。さらに、重量バランスや配置状態を考慮しながら果実を選択・配置し、規格外品の判定や品質検査にも対応します。これにより、熟練作業者に依存していた選果・パック詰め工程の省人化と品質の安定化を実現します。
CASE 02
箱の中にスタックされたカップを識別し、カップを装置へ投入する作業を自動化
食品などの充填作業やカップへの印刷作業は、専用装置によって自動化が進んでいますが、大量のカップを箱から取出し、装置に投入する作業は、箱の状態やカップ形状に合わせて作業する必要があり、人手に頼らざるを得ず、自動化が難しい作業でした。
MOTOMAN NEXTは、AIにより箱の中にあるカップの形状や配置状態を認識し、カップを安定して取り出すために適したつかむ位置や取り出し方を自ら判断することで自動化を可能にしました。透明なプラスチックカップだけでなく、紙コップやインスタント食品用カップ、デザートカップなど、素材、大きさ、見た目が異なる様々なカップを認識して扱うことができます。そのため、多品種をあつかう現場においても柔軟に対応できます。
CASE 03
いろいろな形や状態の袋・箱の開封、
材料の投入作業を自動化
食品や化学品の工場では、段ボール箱やクラフト袋(厚紙でできた大きな袋)に入った原材料を取り出して、機械に投入する作業が毎日行われています。こうした作業は、業種を問わず多くの現場に存在します。しかし、同じ原材料でも袋や箱の大きさや形はバラバラで、さらに袋や箱は輸送過程や湿気などが原因でつぶれて形が変形してしまうこともあるため、ロボットによる自動化が難しい作業でした。
MOTOMAN NEXTは、これをAIの力で解決できます。まず、目の前にある袋や箱の状態をカメラで認識し、どの順番で取り出すのが効率的かを自分で考えて作業計画を立てます。さらに、袋の表面のシワや凹凸を細かく読み取り、どこをどのように切れば中身を傷つけずにきれいに取り出せるかを判断して、カットする経路まで自分で決めます。形が変形してしまった段ボール箱についても同様に対応でき、確実に開け、原材料を機械に投入することができます。「状況を見て判断する」という、これまで人にしかできなかった作業を、ロボットが自律的にこなします。
粉体の状態を認識し、最適な量の
すくい取り動作で計量作業を自動化
粉体の秤量作業は、食品・化学・医薬などあらゆる製造現場で欠かせない作業です。一方で、粉体の状態や性状は材料にごとに異なり、同じ粉体であっても状態が常に変化するため、これまでロボットによる自動化が難しい作業でした。
MOTOMAN NEXTは、AIによって粉体の形状や状態を解析し、その状態に応じて最適な量のすくい取り動作を自ら判断・実行することで、自動化を可能にしました。
これにより、作業者の経験や感覚に頼っていた秤量作業を安定して行うことができ、ばらつきの少ない高精度な計量と、繰り返し安定した作業の両立を実現します。
人手不足への対応や作業負担の軽減に加え、品質の安定化にも貢献し、これまで自動化が進んでいなかった粉体を扱う工程へのロボット活用を広げます。
CASE 05
両腕を使い、人のように丁寧な
梱包作業を自動化
製品を梱包材で包んで箱に詰める作業は、製品の形や大きさが一つひとつ微妙に異なるため、繊細な力加減と判断が必要です。これまで自動化が難しかったこの作業に、双腕タイプのAIロボット「MOTOMAN NEXT」が挑みます。
このAIロボットの最大の特長は、人間とほぼ同じ体格・関節の動きを持っていることです。カメラで対象物の位置や状態を自分の目で確認しながら、両腕をなめらかに連携させて作業します。人のように動けるため、工場のラインや作業台を大きく作り替えなくても、そのままの環境に導入できる点も大きなメリットです。
さらに、最初は人の動きをお手本にして動作を覚えたあと、「強化学習」という仕組みによって自分でどんどん上手くなっていきます。より効率よく動けるようになるだけでなく、扱える部品の種類を増やすなど、作業の幅を広げることもできます。
深刻な人手不足が社会問題となっているなか、双腕タイプのAIロボット「MOTOMAN NEXT」は「人の代わりに丁寧な作業をこなせるロボット」として、自動化できる仕事の範囲をさらに広げていきます。
手術後の医療器具を
感染リスクなく自動仕分け
手術で使われた医療器具は、使用後にきちんと洗浄・滅菌するために種類ごとに仕分ける必要があります。しかしハサミや鉗子(かんし)など形も大きさもさまざまな器具がごちゃ混ぜになった状態から仕分けるこの作業は、これまで人の手に頼るしかありませんでした。使用済みの器具を扱うため、作業する人には感染症のリスクもあります。
この作業をロボットで自動化することの難しさは、器具の種類が3,000種類以上にも及ぶことにあります。さらに、金属製の器具はカメラで撮影すると光が反射して白く飛んでしまい(これを「ハレーション」といいます)、うまく認識できないという問題もあります。また、ハサミのように開いたり閉じたりする器具は、同じものでも形が変わって見えるため、「これとこれは同じ器具だ」と判断することも従来のロボットには困難でした。MOTOMAN NEXTに搭載されたAIは、こうした難題を一つひとつ解決しています。山積みになった器具のなかから取り出しやすいものを判断する技術、光の反射による白飛びを補正して正確に認識する技術、そして開いた状態でも閉じた状態でも「同じ器具だ」と見抜く技術を実現しました。取り出した器具はバスケットへの置き方まで自動で判断して整列させます。「人にしかできない」と思われていた作業をロボットが担うことで、医療現場で働く人の負担と感染リスクを大きく減らすことができます。
CASE 07
NVIDIA Isaac Sim™/NVIDIA Isaac Lab™を活用した学習で、
箱詰め作業を自動化
ニーズが多様になり、ひとつの作業でいろいろな種類の商品を扱う場面が増えています。たとえばネットスーパーの箱詰め作業では、商品の大きさや重さ、割れやすさを考えながら、どれをどう詰めるかを人が判断してきました。こうした判断は、あらかじめ決めたルール通りに動く従来のやり方では対応が難しく、システムがどんどん複雑になってしまうのが課題でした。
このユースケースでは、箱に詰める商品の大きさ・重さ・割れやすさといった特徴をあらかじめ把握したうえで、「どの順番で、どの商品を取り出し、どこに置くか」をAIが自分で判断・計画し、柔軟な箱詰めを実現しました。しかも、その判断をシミュレータ(仮想空間)の中でAIに学習させ、その結果を実機にそのまま適用することで、短い期間での導入と現場展開を可能にしています。
学習には、NVIDIA®社の「NVIDIA Isaac Sim」(※1)と「NVIDIA Isaac Lab」(※2)を使って仮想空間に練習環境をつくり、「強化学習」という方法で最適な箱詰めのやり方を覚えさせました。強化学習とは、ロボットが自分でいろいろ試しながら、うまくいった動きを少しずつ身につけていく学習の仕方です。これにより、ある商品の注文が急に増えたときでも、まず仮想空間の中で確認できます。できあがったAIモデルはロボットにそのまま組み込めて、現実の現場に直接適用できます。
※1 NVIDIA Isaac Simとは
NVIDIA Omniverse™ を基盤にした、ロボット向けのシミュレーション(仮想空間での再現)と、学習用データづくりのためのアプリ。現実の物理現象を再現した仮想空間で、AIロボットの開発・テスト・確認ができます。
※2 NVIDIA Isaac Labとは
NVIDIA Omniverse上で動く、GPUによる高速処理に対応したロボット学習用の仕組み(フレームワーク)。強化学習や、お手本をまねして覚える「模倣学習」によって、大規模なロボットの学習ができます。