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ガラス基板搬送用双腕真空ロボットを新発売
-大形の有機ELガラス基板を、高真空中で各種処理装置間を高速搬送・移載-

新製品2003年11月13日

株式会社安川電機(取締役社長 中山 眞)は、有機ELディスプレイ*1製造装置用に、最大370×550mmのガラス基板を、高真空中で各種プロセス処理装置間を高速搬送・移載ができる昇降軸付きの双腕真空ロボット「XU-RV1060D6」(可搬質量20kg/腕)を開発し、平成15年11月21日から販売を開始します。

 当社におけるこれまでの単腕真空ロボットシリーズ2機種に、より動作範囲・可搬質量の拡大、双腕形による搬送・移載能力向上を図った双腕真空ロボット新機種を開発し、追加しました。これにより有機ELガラス基板の大形化、製造システムである大形クラスタツール*2への対応、搬送・移載処理能力向上による生産性アップを可能にしました。今回の双腕真空ロボットの市場投入によって製品競争力の強化を図り、有機EL分野での販売台数の増加によるシェアアップを目指します。

  • https://www.yaskawa.co.jp/wp-content/uploads/2003/11/15.jpg

1.製品化のねらい

 液晶・PDP(プラズマディスプレイ)に続く次世代ディスプレイとして有機ELディスプレイが注目を集めており、量産化とともに大形化が進んできています。有機ELディスプレイ製造装置に使用されるガラス基板搬送真空ロボットは、ガラス基板の大形化に伴い、高い真空域で大きなサイズ・質量(高可搬質量)のガラス基板や有機EL完成基板を広い範囲に搬送でき、しかも大気雰囲気から隔離した真空域のクラスタツールと呼ばれる製造システム内の各処理室間での高速搬送・移載が求められています。

 当社では、これらの要望にお応えするため、有機ELディスプレイ製造装置用に、高真空中で最大370×550mmサイズの大形ガラス基板を搬送できる可搬質量20kg/腕の双腕真空ロボット「XU-RV1060D6」を開発しました。
大形クラスタツールなどで、1台の双腕真空ロボットで大形ガラス基板の搬入から各処理室間の搬送・移載、有機EL完成基板の搬出までの連続一括処理、双腕動作での高速搬送・移載による高スループット化、生産性の向上を可能にしました。

2.主な特長

 (1) 高真空中で旋回・伸縮・昇降の3軸動作が可能な双腕タイプにより高スループットを実現
 クラスタツールなどの有機EL製造システムでは、カセットや各処理室間に対してガラス基板や完成基板を搬送・移載するには、真空中でアーム(腕)部の旋回、伸縮動作のほかに昇降動作が必要です。
 可動部の真空と大気のシールでは、回転部には摺動摩擦損失が少なく高真空域までのシール性能をもつ磁性流体シールを適用し、昇降部は金属ベローズを採用したことによって高真空中(1×10-6Pa(パスカル))での旋回・伸縮・昇降の3軸動作を実現しています。
 また、高真空対応に加え、ダブルアーム方式の双腕タイプの採用によってガラス基板、完成基板などを、カセットや各処理室間で効率的に高速搬送・移載できますので、スループットの向上が図れ、生産性の向上に寄与できます。
 (2) 高可搬質量と広い動作範囲、最大370×550mmの大形ガラス搬送が可能
 ガラス基板サイズの大形化に伴い、製造装置の処理室も大きくなり、必然的にガラス基板を搬送する真空ロボットも可搬質量の増大と広い動作範囲が必要となります。
 高可搬質量には、アームの伸縮機構に平行リンク機構の採用、構造解析によるアーム形状の最適化によって、アーム部の高剛性化、伸縮時の横揺れの抑制、低振動化を図り、可搬質量20kg/アームを実現しました。合わせて、アームを最も伸ばしたときの最大リーチ1050mm、アームの伸縮ストローク1700mm、上下(昇降)ストローク100mm、旋回角度330°の広い動作範囲を達成でき、高真空中で最大370×550mmの大形ガラス基板、完成基板の搬送を可能にしました。
 (3) アーム部の高い真空性能で信頼性向上、及びガラス基板有無検出センサの取付けが可能
 高い真空環境に設置されるロボットは、ロボット自体から放出される発ガス量とその成分が問題とされ、プロセスに悪影響を及ぼす発ガスを抑える必要があります。
 アーム駆動のためのゴム系統の伝達ベルトなどや樹脂製品は、発ガス量や成分の面から極力さける必要があります。本製品は平行リンク機構による伝達方式を採用し、この発ガスの影響を抑えていますので、信頼性が一層向上しています。
 また、ロボットアーム内にセンサ用配線を通すことができる構造としていますので、アーム先端のガラス基板ハンド部に基板の有無を検出するセンサを取り付けることが可能です。

3.主な用途

・有機ELディスプレイ製造装置における高真空中での大形有機ELガラス基板及びその完成基板の搬送・移載
・液晶ガラス基板や半導体ウェハの搬送・移載にも適用可能

4.販売計画

 (1) 販売開始 平成15年11月21日
 (2) 販売計画 100台/年
 (3) 販売価格 1440万円(コントローラ込み)
 なお、来る11月19日(水)〜22日(土)に東京ビッグサイトで開催される『2003国際ロボット展』において、
「XU-RV1060D6」をガラス基板搬送にて実演、展示します。

【文中用語説明】
*1 有機EL(Electro Luminescence)
  電圧を加えると蛍光を発する物質を利用し、この有機薄膜に電流を流して、電子の結合エネルギを光エネルギに変換することで発光する自発光形デバイスです。
有機ELによるディスプレイとして輝度が高く、画質に優れ、薄形化が可能なほか、応答速度が格段に速く、動画の描写に優れます。携帯電話用や中・小形テレビやモニター、パソコン用への利用が見込まれ、次世代ディスプレイとして最近急ピッチで実用化、量産化、大形化が進められています。
*2 クラスタツール(Cluster Tool)
  周囲の大気雰囲気から隔離した真空環境の製造システムで、この製造システムは互いに機械的に結び付けられたプロセス(処理装置)、搬送及びカセットモジュール等で構成されます。
有機ELディスプレイ製造システムのクラスタツールでは、ガラス基板の搬入から成膜や検査、封止工程などが全て真空中で処理され、有機EL完成基板として搬出されます。このクラスタツール内での各処理室間の搬送・移載等を真空ロボット等で行います。

 

[お問い合わせ先]
株式会社 安川電機
ロボティクスオートメーション事業部 事業企画部
課長補佐 古谷(コヤ) 和久
Tel.(093)645-7703
Fax.(093)631-8140

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