新製品2003年5月22日
株式会社安川電機(取締役社長 中山 眞)は、自動車産業などの大形プレス加工ラインで、ワークサイズ4000×2000mmの大物ワークを、業界最速で搬送できるプレス間搬送用新形ロボット「MOTOMAN-EP4000」(可搬質量200kg)を開発し、平成15年5月26日から販売を開始します。
当社のプレス間搬送ロボットシリーズに、より高速・高性能化を図った大形新機種を追加強化したことによって、大形プレス加工ラインの処理能力向上による生産性アップ、ライントータルシステムのコストダウン、省スペース化等への対応を可能にし、同分野でのシェアアップを目指します。
自動車関連産業では、生産効率向上や部品点数の削減によるコストダウンのため、プレス機械での加工部品(例えば、自動車のサイドパネル)の一体化や複数個取りプレス加工化等が進み、これに伴ってプレス加工部品が大形化してきています。
また、これらの大物ワークのプレス加工ラインにおけるプレス機械間の搬送は、可搬質量や動作速度・範囲を十分満足できる搬送用ロボットがないこともあって、その多くは、速度は速いが非常に高価でしかもフレキシビリティの低いトランスファーマシンや、個々のプレス機械に取り付けた専用機が使用されています。
大形プレス加工ラインでは、現状のロボットによるプレス間搬送の課題である生産タクトタイム短縮による生産効率向上のほか、フレキシブルなライン構成や省スペース化、トータルシステムのコストダウン等に対応できるプレス間高速搬送用ロボットが望まれています。
当社では、これらの強いニーズにお応えして、プレス機械の大きさによる分類等級における超A級クラスで、A0級といわれるワークサイズ4000×2000mm、質量50kgの大形・重量物ワークを、このクラスで業界最速のサイクルタイム4秒台で、プレス間ピッチ最長9mまで1台のロボットで搬送することが可能なプレス間搬送用新形ロボット「MOTOMAN-EP4000」を開発しました。
「MOTOMAN-EP4000」は、可搬質量200kgの6軸垂直多関節構造で棚置きタイプです。
(1) 大形・重量物ワークの高速搬送でクラス最高の処理能力を実現
ロボット各軸の駆動モータ大容量化と減速機の高剛性化を図ったほか、アーム部(腕部)の軽量化と剛性強化設計及び動作時の振動を抑える制振制御を適用して、大形ワーク搬送、広い動作範囲を確保するための長腕ロボットの弱点であった高速動作を可能にし、A0級ワークサイズ搬送でクラス最速を実現しました。
プレス間搬送の処理能力は、サイズ4000×2000mm、質量50kgの大形・重量物ワークをプレス機械間のピッチ6~9mでサイクルタイム4秒台(1分間当たり11~13サイクル)を可能にしました。タクトタイムの短縮化による生産効率向上が図れます。
(2) 駆動部の小形・スリム構造化でプレス加工ラインの省スペース、コストダウンが可能
ロボットのアームつけ根部の駆動系構成部分を対象に、アームバランサの後方配置化や、従来のベルト駆動をギヤ駆動にすることよってこの駆動系構成部分の小形・スリム構造化を実現しました。
これにより、大形プレス加工ラインでのプレス間ピッチ最長9mはもちろん、プレス機械との干渉エリアの減少によってプレス間ピッチ6mにも対応可能となり、プレス間ピッチの短縮化による省スペースのほか、広範囲なプレス間ピッチへも対応でき、フレキシブルなライン構築が図れます。
さらに、高速動作等による高い処理能力と相まって、大形プレス加工ラインでのこれまでのトランスファーマシンや専用機等に替って、ロボットによるプレス間高速搬送が可能となり、大形プレス加工ライントータルシステムのコストダウンに寄与できます。
(3) ロボット設置は棚置きタイプなのでプレス金型交換が容易
プレス加工ラインへのロボットの設置は、棚置きタイプを採用しているので、プレス機械の金型交換を行う場合にロボットが邪魔にならず、ロボットをプレス機械から退避させる必要がなく、金型設計や交換作業を容易に行うことができます。
また、既存の加工ラインに導入しやすく、また床面積のスペース効率の向上が図れます。
自動車産業や機械産業などの大形プレス加工ラインでの大形・重量物ワークのプレス間搬送
(1) 販売開始 2003年5月26日
(2) 販売計画 50台/年
(3) 販売価格 1450万円(コントローラ込み)
[お問い合わせ先]
株式会社 安川電機
ロボティクスオートメーション事業部 事業企画部
課長補佐 古谷(コヤ) 和久
Tel. (093) 645-7703
Fax. (093) 631-8140