Project Story | 02

データ活用による自動化で、
お客さまの工場の
生産性向上を実現せよ。

2017年、安川電機はお客さまA社のアライアンスパートナーとして、「革新的なモノづくりによる生産性向上」プロジェクトをスタート。そこで求められたのは、自社製品ありきの自動化ソリューションではなく、お客さまの既設備を利用したデータ活用による生産性向上という取り組みだった。安川電機がプロジェクトに取り組む意義とは。また、どのようにお客さまの要望に応えていったのか。さらに、プロジェクトを通して安川電機が得たものとは。プロジェクトにおける営業の取りまとめを担った下門 義純に語ってもらった。

MEMBER

  • 営業
  • 下門 義純
  • 2003年入社

IoT元年に始動

今、世界中のあらゆるものがインターネットにつながるIoTの時代が本格的に到来している。日本政府が、様々なつながりによって、新たな付加価値を創出し、社会課題を解決する“コネクティッドインダストリーズ”戦略を打ち出したのは2017年。このIoT元年ともいえる年に、安川電機が取り組む機会を得たのが、メーカーのお客さまA社のプロジェクトだった。
プロジェクト発足のきっかけとなったのは、A社の経営者がその年に新たなモノづくりの必要性を感じ、社内で飛躍的な生産性向上を目指したことであった。
一方、安川電機が、メカトロニクス製品にデータ活用を融合させることによって、お客さまの持続的な生産性向上の実現を目指す、新たなソリューションコンセプト「i³-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス)」を提唱したのも2017年のこと。その意味で、熱い想いを持ってIoT元年を迎えたのは、A社も安川電機も同じだったといえるだろう。
そんな中、当プロジェクトの担当を任されたのが、下門だった。「自分自身、これまで携わっていなかった分野であり、面白いことができるかなという期待はありました」
ただ、安川電機としても、自社製品ありきの自動化ソリューションではなく、お客さまの既設備を利用したデジタルデータマネジメントでソリューションを提供するプロジェクトは初めてであった。まずは当プロジェクトでお客さま本位に徹して対応し、お客さまの課題感に深くコミットしていくことで信頼を得る。そして次に新規装置へ自社製品を展開するチャンスを見据えて、プロジェクトに取り組み始めた。

現場百回を繰り返して見えてくるもの

下門が最もこだわったのは、お客さまの工場に繰り返し足を運び、製造現場をつぶさに観察すること。そこで、「どこに問題があるのか」「どこで生産性が上がるのか」……、ITの側面、FA(工場全体の自動化システム)の側面、双方から検討していった。
その中で重要になったのは、お客さまの工場内で稼働している各装置のメーカーと密にコミュニケーションを取ることだった。「お客さまの既設備を利用したデータ活用による生産性向上のプロジェクトだったため、各装置からどのようなデータを出してもらうか、どうデータを活用するか、各メーカーさんと細かく話し合う必要がありました。このように他のメーカーさん1社1社にアプローチして根掘り葉掘り聞くという経験ができたのは、当社がアライアンスパートナーとしてプロジェクトに参画していたからこそ。
さらに、下門は、「お客さまに貢献するために何をすべきか」にこだわりを持つよう意識した。「そのためには、お客さまがどんな経営課題を持ち、どういう内容でプロジェクトを進めるべきなのか、把握する必要があります。その点、アライアンスパートナーという立場は、プロジェクトにおいてはお客さまと一体ですから、細かいことまでなんでも聞きやすい。そうしてお客さまのビジネスやその課題感に深くコミットすればするほど、提案するソリューションのアイデアも湧きやすくなりました」

安川電機の強みを活かした
ソリューションを提供し、
生産性向上を実現。さらにその先へ

2017年から始まったプロジェクトは、3年かけて2020年に完遂。最終的に当プロジェクトでは、「FAという観点で、今まで自動化が困難であったような人系作業の自動化」「全自動化での経験による上位システムとのつなぎによる生産の自動化」「古い装置や自動化されたラインからのデータ収集とデータに基づく最適制御」など、安川電機ならではの強みを活かした多くのソリューションを提供し、その結果、飛躍的な生産性向上を実現した。「お客さまにもご満足いただき、これからさらに次の取り組みにチャレンジしていきましょうという話ができたのは、大きな収穫でした」
下門は、「当プロジェクトはあくまでも次の展開へ進むための足がかり」だと捉えている。「既設備ではなく、安川電機の製品を導入すれば、もっと生産性が向上する、という思いを、お客さまに持っていただく。そのための提案ができる土壌が、今回できたと思っています。実際、すでにA社の別部門への安川電機製品の導入を実現するなど、A社からの信頼は高まっていると思います」

プロジェクトを通して
得たものを糧に

当プロジェクトは、担当者自身のキャリアにも大きな影響をもたらした。「当社の新たなソリューションコンセプト実現の最前線に立って、全く新しい分野に挑む。そこでは当然、新しく多くのことを勉強しなければいけませんから、プロジェクトに携わること自体が刺激的。自分の第二のスタートではないですが……、自分のキャリアはまだまだこれからだという気持ちになりました(笑)」
また、「お客さまに貢献して初めて安川電機が勝てる」ということが身にしみてわかったのも、当プロジェクトを通してのことだ。「どんなプロジェクト、どんな案件においても、重要なのは、お客さまの言葉のその奥にある本当の課題感を掴んで、それを解決に導くことでお客さまに貢献すること。それが実現できて初めて、安川電機の真の実力をお客さまにわかっていただけるのであり、お客さまに安川電機の価値を最大限提供できるのだと実感しました」
お客さまに貢献するために何が必要か。それを的確に掴み、ますますスマートファクトリー化が進む世の中を勝ち抜いていく安川電機の最前線で活躍していきたいと下門は語った。